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当記事は、東池尻会館にて行われた「東池尻 昔語り 第二回(平成30年5月13日)」において「鳥山 久雄(とりやま ひさお)」さんが話された内容です。
目次
牛滝祭りと耕牛との思い出
大楠の元で行われた「牛滝祭り」
昔「牛滝祭り(うしたきまつり)」は、東池尻の東端、東除川近くの楠(くすのき)あたりで行われ、当時飼われていた牛たちが集まっていました。
大楠の根本にはコンクリート製の小さな祠(ほこら)があり、そこに牛滝さんを祀(まつ)っています。
大楠のすぐ側には、「牛滝さんと大楠」の歴史を伝える立て看板もあります。
この牛滝祭りが行われる頃というのは、田んぼに黐躑躅(モチツツジ)をさして田の神に祈ったり、苗代(「なわしろ」、東池尻では「のしろ」と呼んだ)の上に、肥料にする灰を撒く頃でした。
田植えの前に、稲の種をまいて苗を育てる田んぼのこと。
祭りの目的は、牛の安全を願い、死んだ牛の供養をすることでした。
また、牛の品評会もかねていて、牛たちの体格の優劣も競いました。
牛滝まわりの清掃など、昔は「牛滝講」の人たちが世話をしていましたが、講のなくなった今では消防団がやってくれています。
毎年8月25日近くの日曜日早朝、消防団で清掃し、祠前に榊(カサキ)や菓子などをお供えして消防団以外の人も含め、みなで順に拝礼しています。
現在でいえば「グループ」「団体」「組」に近い言葉です。
農耕に欠かせない耕牛との生活
牛滝祭りでわかるように、昔は牛が農耕生活に欠かすことができず、だいたい昭和30年(1955年)頃まで、東池尻の農家では牛を飼って農耕に利用していました。今は機械化されましたが、その当時は牛の力によって農耕していましたので、牛を大切に世話していました。
農家では、家のそばに牛小屋(牛の小屋であったが、「うまや」とよんだ)を作ったり、または上の絵のように牛を家の中で飼って牛とともに生活をしていました。
牛の健康や牛の洗い方にも気を遣い、他の人が所有する牛よりも綺麗にして自慢しあいました。
牛の爪切りも大事なことでしたので、村にいた爪を上手に切ってくれる人に村中が頼んでいました。
爪を切るのは観音堂(府道より西側下、中地蔵ヨコの建物。現在、観音像は東池尻会館に安置されている)前で行われましたが、そのときには牛が集まるので牛同士の争いもありました。
また、牛を長時間道路を歩かせる時には、牛の爪の保護のため、ワラの草履を履かせることもありました。
牛の扱いについては、子どもの時からやっていました。牛の行く方向を変える時には、右の場合は綱を手元に引っ張っり、左の場合は『チョイチョイ』と言って、綱で牛の腹あたりを軽くたたきました。
そして時には、牛を肉牛として売る場合がありました。
牛を買いに来る人がいて、それが現金収入となりましたが、牛がいなくなると困るので、そのときには小さい牛を買いしっかり食べさせて大きくしました。
村の俄芝居(にわかしばい)の幕は、牛を売買する業者が寄贈した牛の絵であったことも覚えています。
※俄芝居・・・路上などで行われた、即興の紙芝居。
牛は農耕だけでなく、運送にも役立ちました。
荷車は『バリキ』とも言いましたが、その車輪は木製で、時には大阪市内方面に引っ張って行ったことがありました。
戦後はゴムタイヤもありましたが、たいてい粗悪品でよくパンクしました。
※飛行機の車輪などを使用、戦車の車輪もありました。
耕牛から農業機械への移り変わり
牛を扱っていた頃から比べて、現在は農業が大きく変わりました。
それは農業機械が出現したからです。
戦後、兼業の農家が多くなり現金収入が増え、機械の購入につながりました。
この機械によって、農作業は非常に楽になりました。
牛の頃は、体力と時間が必要で大変でしたが、今は簡単に時間的にも速くできます。
たとえば、1日かけてしていた作業が、今では数時間程度で出来たりもします。
昔は1日中仕事をしていたので、休憩を何回もとりましたが、そのときに農業の話をしたり雑談をしたり苦しい農作業のなかにも楽しみがあって、みんなで助け合いながら農業をしていました。
今は機械で作業の効率はよくなりましたが、人同士の会話が少なくなり寂しい気がしています。
大楠の場所は
牛滝祭りが行われていた大楠は、東池尻会館より東、東除川沿いにあります。
※この木は表紙絵の大楠です。
東池尻地区会 区長
山村 歳幸
文化財産委員会
岡本 典久・鳥山 喜代治・鳥山 勉・森田 勇・山村 茂樹
表紙絵
市川 敬一
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掲載内容はできる限り正確に保つように努めていますが、最新の情報と異なる場合があります。
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